風俗営業と深夜営業どう違う?

初めてスナックやラウンジを開業する際に、風俗営業許可を取るか深夜営業許可を取るかで迷うお客様はかなり多いです。

なんとなく営業時間と営業方法に違いがあるのはわかるけど実際にどこがどの程度違うかはっきりとわかる方はあまりいないのではないでしょうか。

風俗営業許可と深夜営業許可では営業時間と営業内容以外にも許可取得する上での要件の違いもいろいろありますので今後の参考にしてみてください。

 

営業上ではどこが違う?

風俗営業許可と深夜営業許可で大きく違う点は以下の2つです。

・営業できる時間

・接待営業の有無

 

営業時間の違い

・風俗営業許可では深夜12時まで

・深夜営業許可では24時間営業可能

よく相談を受けるのは、「両方取れば深夜12時以降も営業できますか?」と聞かれますが、規制の基準がそれぞれ違うため、残念ながら現状では両方同時の取得はできません。

 

接待営業について

接待のサービス内容について明確に線引きすることは難しいですが、ここの判断を誤ってしまうと、最悪の場合は風営法違反となってしまい営業できなくなってしまうため、営業者は当然として、従業員にもその接待の解釈については理解させておく必要があるでしょう。

・風俗営業許可では接待できる

・深夜営業許可では接待できない

 

接待とはお客に対して次のようなサービスを行うことをいいますが、接待とはお客の隣に座る場合にかぎられないことにも注意が必要です。

よく、「対面で座る場合は?」と聞かれることがありますが、特定のお客に対してサービスする場合は隣でも対面でも接待とみなされます。

・お客の隣に座り談笑相手となったりお酌をしたりする。

・お客にカラオケを勧めたり、一緒に歌う。

・お客と一緒にゲームなどを行う。

・お客の前でマジック、ダンスなどのパフォーマンスを行う。

ディナーショーなどのように継続的な営業でなく又、不特定多数のお客にショーを見せたりするのは接待に該当しないといわれています。

風営法違反で警察に捕まるケースは、許可無しで接待営業を行って捕まるパターンが非常に多いです。

どちらの許可を取るのかはこの接待営業を行うかどうかで決まってしまうので、実際には申請者に選択の余地はほとんどないのが現状です。

よく記事で目にするのは、「スナックは深夜営業許可を取得すればよい」と書いてありますが、カウンターしかない小さいお店なら選択の余地もありますが、ボックス席が複数あって各席にホステスが付くような店では風俗営業許可の取得が必須となります。

 

 

 

 

許可を取るための要件の違いは?

・人的要件

・保全対象施設

・客室の面積

・客室の明るさ

・申請後の実地調査

・許可が下りるまでの期間

 

人的要件

風俗営業許可では、申請者(法人は役員全員)と管理者が人的要件をクリアしなければなりません。

・風俗営業許可では人的要件あり

・深夜営業許可では人的要件なし

 

人的要件とは、以下の者ではないことです。過去5年以内に何かしら違反行為を行って警察に捕まったことがある場合は、風俗営業許可を取れない可能性があるので、事前に警察へ確認してから開業の準備をしたほうがよいでしょう。

・成年被後見人、被保佐人、破産者。

・過去5年以内に風営法、刑法、売春防止法、児童福祉法等の法律に違反し、懲役、罰金刑等を受けている。

・アルコール、麻薬等の中毒者。

・風俗営業許可を取消されて、5年経過していない。

・営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者。

 

保全対象施設

・風俗営業許可では保全対象施設要件あり

・深夜営業許可では保全対象施設要件なし

どちらの許可を取るのかここも大きなポイントの一つとなりますが、風俗営業許可を取得するためには、店舗の近くに保全対象施設があってはいけません。

保全対象施設とは、保育園、学校、図書館、病院、診療所(有床施設)、児童福祉施設などですが、よくあるのが保育園(認可)が近くにあるため許可が取得できないケースです。

保育園は学校などのように広い敷地を必要としなくて小さなビルの1フロアで済んでしまうので、駅近のビルなどは要注意です。

制限距離は施設によってその距離に違いがありますが、100m以内に該当しそうな施設があるときは距離制限にかかる可能性があるので注意してください。

尚、深夜営業許可では保全対象施設の問題は生じません。

 

客室の面積

客室が1室である場合はどちらの許可も問題はありませんが、客室が2室以上と判断された場合は1室の客室の必要面積に制限があるのでご注意ください。

客室数はこちらで決めるものではなく店内の構造により判断されるので、こちらが1室として申請した場合でも警察から2室以上として申請するよう言われることがあるので注意が必要です。

そこの判断については一般の方には難しいので行政書士に依頼して調査してもらったほうがよいでしょう。

客室が2室以上の場合

・風俗営業許可では、1室の面積が16.5㎡以上必要

・深夜営業許可では、1室の面積が9.5㎡以上必要

VIPルームを造る場合は部屋の広さにご注意ください。うっかり小さめに造ってしまうと許可が取得できない可能性があります。

 

客室の明るさ

それぞれ許可に共通の要件ですが、客室の明るさにも決まりがあります。

・風俗営業許可では客室の明るさが5ルクス以上必要

・深夜営業許可では客室の明るさが20ルクス以上必要

風俗営業許可の実地調査では照度計で明るさを測定されるわけですが、基本的に客室内のどこで測定しても数値を満たしていなければなりません。

ただ、実際の測定場所はテーブルの上やカウンターの上で測定することが多いです。

過去に実地調査で5ルクス以下の数値になったことはありませんが、事前に測定して照度がギリギリの場合は照明を現状より明るいものに変更するなどの措置が必要となります。

 

 

 

 

実地調査の有無

・風俗営業許可では実地調査があります

・深夜営業許可では実地調査はありません

それぞれの許可ではここにも大きな違いがあります。

実地調査とは、申請から許可が下りるまでの間に警察と浄化協会の方がお店にやってきて、店内が申請した図面通りになっているか確認を行います。

図面と店内が違う場合は図面を修正することになりますが、まれに風営法の構造要件を満たしておらず、違反部分の工事を要求される場合もあります。

工事で対応できない場合だと最悪不許可になる場合もあるのでお気をつけください。

深夜営業許可では実地調査がないので多少図面に寸法誤差があっても図面自体が要件を満たしていれば許可が通ってしまいますので、この点は大きな違いと言えます。

ただし、深夜営業許可の場合でも許可取得後すぐに立入調査に来ることがあり、その際に店内の様子が図面とあまりにも違いがあると指導を受けることもあるので注意が必要です。

 

申請から許可が下りるまでの期間 ※都道府県により差があります。

・風俗営業許可は55日以内(だいたい50日~55日の間)

・深夜営業許可は10日前後(警察が忙しいと多少伸びる)

ここも大きな違いですが、そもそも深夜営業許可は届出制なので申請書類に不備がなければ許可がおります(届出なので実際は許可ではない)が、風俗営業許可は許可制なので許可が下りるかどうかは公安委員会の判断にかかっています。(実際は要件が揃っていれば必ず許可は下ります)

申請書類はどちらも似ていますが、警察での書類審査は風俗営業許可のほうが許可制であるぶん少し厳しめのようです。

当然ですが、許可が下りるまで風俗営業及び深夜営業はできません、風俗営業許可に関しては許可が下りるまで2ヶ月間と非常に長いです。

営業はしなくてもその間のお店の家賃など経費はそれなりにかかるので大変ですが、うっかり営業しているところを警察に見つかると申請は取り下げとなり最悪は逮捕されてしまいますのでルールはしっかりと守って許可が下りてから堂々と営業を開始しましょう。

 

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行政書士 光野井良浩